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旅というより、知らない街に行くのが好きだ。
観光地には大して興味がない。そこが知らない場所であればあるほど、日本から遠けれ ば遠いほどいい。その理由に、三十四歳になってようやく気づいた。『部外者”という感 覚が好きなのだ。
そこに自分が属していないという意識は、自分が『観察者”であるという感覚をより大 きくさせる。それは人生が、体験するものではなく、観察するものであるということにー ―何かと苦しい自分の人生も、体験するものではなく、本当は観察するものであるという 錯覚に――自分を包んでくれる。たとえ錯覚だとしても、そう感じられれば、少しだけ気 分が楽になる。それがいいのだろう。